9 章 健常者のリハビリ運動
今日の夕食は久しぶりに少々手の込んだ物を作って満足な博士だった。

気分良く食事が出来たので調子に乗ってベランダで食後のコーヒーでもと、

食器等持ちながらベランダに出ると、気持ちの良い夜だった。

コーヒー豆をガリガリとやりながら外を見るとかなりの人がジョギングを

しているのが見えた。

そんな中にこちらに向かって手を振りながら近づいて来る人がいた。

よく見ると、いつも碁会所で逢う板金屋のあんちゃんで有る。

この男、碁会所で碁もやるがチェス盤を持ち込みチェスの相手を見つけては

チェスをやっている、しかし、碁会所でそうそうチェスをやる人はいない

ので博士が居るといつも付き合わされている。

何やってるのぉー と、声を掛けると、今日からジョギングを始めたとの事

チョット休ませてくれないかと言うのでコーヒーでも飲みながら休むように

と、家の中に招き入れた。

今日から始めたって、どの位走って来たの と、聞くと。

家を出て4km位走って、これからチョット遠回りして家まで後3km位走るそ

うだ。

コーヒーを出しながら博士は彼に言った。

明日、予約を入れときますから11時頃来て下さい。 それを聞いて彼は

何でっ、と言う顔で笑った。彼も多少は判っているのかも知れないがマッ

サージに掛かるほどに体がなるとは思ってもいないようだ。

それからチェスの話を一頻り行って彼はまた夜道を走り出した。

次の日は一番に老人が一人来院したがその後来院者が居なかったので好きな

音楽を聞きながらコーヒーを飲んで過ごしていると、11時前に例のあんちゃ

んが変な腰つきで すいません、チョット揉んでくれますか と言いながら

部屋に入って来た。

マッサージを受けながら彼が どうしてこうなっちゃんでしょうか と聞い

て来た。

訳はと聞かれても、普段からの運動不足から来る物に変わりがない。

しかし、彼の職業は建築板金で有り、一日中机で事務を執っている人とは違

う、彼なりに自身が有ったと思う。

が、で有る、多少体を多く動かしていると思っていても実は全身運動は大し

て行っていないので有る。

彼の場合、ジョギングを行った様子を聞くと、結構速度を出しており、その

所々で100mダッシュも行ったとの事。

何に触発されたかは知らないが、いきなり今までジョギングの経験が無い人

がそこまでの運動を行うと、強い刺激を受けた筋肉は当然次の日に痛みを出

す、これが、運動初日に軽く早足位で距離を少なく行っただけなら、次の日

にこれほどの痛みが出る事は無い。

マッサージを受けて少し楽になった様で話が弾んで来た。その話の中で博士

は運動を始めたいならそれなりの準備が必要で有る事を教えた。

まず、今までこれと言った運動をした事が無い人は、怪我をして寝たきりが

少し続いた人の体と同じような物であるから、運動能力回復のリハビリ運動

が必要になる。

あまり焦らずゆっくりと行うのがコツである。

畳の上や絨毯の上に寝転がり、テレビでも見ながら最初に行うのは、両足の

筋肉に力を入れる。

仰向けに寝ながら両足を揃えて膝小僧を中心にするようにして、ギュッと

力を入れる。この動作のバリエーションは四つで、同じ体勢で足のつま先を

前にしたり、後ろにしたりして力を入れる。(立っているとしたらつま先立

ちとかかと立ちの状態)それと、お尻に力入れる動作である。

この運動はリハビリの第一歩で有り、膝に負担をかけないのでよほど頑張っ

てやり過ぎない限り筋肉疲労まではいかないので、横になれる時は忘れずに

行った方が良い。

次は腹筋の運動、真直ぐに寝ていて足を上げて足と体が直角になるように

する。これは腹筋の強さを見極めて回数を決める。

リハビリ運動のどの動作についても同じである、無理して回数を増やさない

事が肝心である。

回数の決め方としては、その運動をして、体がきつくなったらそこで止める

その回数を続け、体がきつさを感じなくなったら一回づつ増やしその回数も

大丈夫になったら、また増やす。

有る程度回数が増えて来たら、その回数の半分で止めて、1〜2分休みまた

行う、これを3回繰り返す。 これで、一回に仮に20回しか出来なかった物

が30回分行えます。

それ以上は自分にあった回数などを試行錯誤して決めて下さい。

次は、やはり足を上げて今度は横に下ろす動作です、左右に行います。

次は、普通の腹筋運動ですが腹筋の強さにより方法を変えます。

比較的腹筋が強い人は足をそのまま前にして足を固定しなくても行えますが

リハビリ対象者にはムリです。家人に足首を押さえていただくか、足のつま

先が少し固定出来そうな物を見つけます。

5〜6千円で腹筋台を買う事が出来ますがその場合、台が傾斜している物は

避けて下さい。傾斜していても傾斜の変えられる物が有れば良いです。

次は、腕のリハビリ。 そのまま寝ながら両手を上に伸ばします、その時の

手のひらは天井に向けておぼんを持ち上げるような格好にして下さい。

回数は一度に20回程度で良いでしょう。これは空気腕立て伏せです。

肘に自身が無い方にも気楽に腕立て伏せ運動が出来ます。

負荷をかける腕立て伏せはいきなり床で行わないで下さい。

まづ、机やテーブルなどのふちに手のひらを置き45度か50度の角度で

腕立て伏せを行って下さい。

次は肩を上げる運動、腕をブラーンとして、首を竦めるような形で肩を上げ

ます。簡単な運動ですが最初は10〜20回行っただけで肩の辺がだるくなると

思います。

次に、今度は肩甲骨を動かします。腕を後ろに回し手を組、肩を後ろに送る

要領で両方の肩甲骨を近づけます。

次は剣道の素振りの要領です。両手を握り振りかぶってから前に出す、腕が

水平まで来たら後ろへと、この繰り返し。

主な物を書きましたがストレッチとしては体の隅々まで動かすつもりで気が

ついた動作をそれぞれ考えて行って下さい。

朝起きた時、動き始める前にもストレッチを行って体をほぐしてから、動き

出すようにしましょう。

私が行っているストレッチはベッドに腰掛けてまず、耳たぶの裏がわの付け

根を親指で揉みます。それから、頭頂部を両手の指で押します。

それが済んだら頭を倒しながらグルグルと回します、右、左2回ずつ、ゆっく

りと行います。速く回すと首を痛めます。

次に足首をアキレス腱を揉みながら回します。それが済んだら、足首から

付け根の方に向かってさすり上げます。(第6章膝の痛みを参照) 両足とも

出来たら腰掛けたまま上体をを左右にひねり、最後に腰から上へと手の届く

範囲で手のひらでもみます。

全ての動作で各2回程度、朝目覚めてからの行動がスムーズに行きます。

活字にすると少々長くなりますが行ってみるとそれほど時間はかかりません

ので是非行って見て下さい。

多少納得してくれたのか、うなずきながら彼は、今日は休日なのでこれから

テレビを見ながら寝ていると言ったので博士は、体を休ませる為にはテレビ

を見ない方が良いと忠告した。

目からの疲れは体全体に影響します。

加筆+++ リハビリ 健常者にはストレッチ 人間体を動かす前には、必ず行った方がよいです。
特に定年退職になり、家の中で長い時間を過ごされている方は、運動不足になる可能性が高いです。
運動不足のまま、体を動かすとたとえ、花壇の土いじり程度でも体は悲鳴を上げる場合が有ります。
運動不足は何かに付け不具合が起きて来ますし、簡単な自宅の補修などでも苦労してしまいます。
血糖値が上昇したり、内蔵の各部位に直接付いて悪さをする脂肪が増えたりあまり良い事は起こりません。
ですが運動のやり過ぎには注意が必要です。
私は最近台の上に上がり下りする運動をしていますが、これも慣れて来ると回数を増やしたくなります。しかしやり過ぎは必ず体調に影響して来ます。これは、個人個人で限度が異なるので各人で検証するしかありません。
つい最近ですが、この運動を行っているので多少体力に自信が出来ていたので思わぬところで失敗をしてしまいました。
四方山話に書いた件です。
どのようになったかと言うと。
次の日、朝から少し体が重かったがいつもと変わらない位の体調だったが、お昼前頃少し寒いと感じたので例のスッテプ運動をして体を温めた。(その日は気温が3〜4℃)
昼食を食べた後頃から体温が上昇しているような感覚が出て来たので体温計で計ると、37度2分。寝た方が良いと言われベッドの中に。
14時30分頃トイレに行きたくなり布団から出た頃からブルブルと震えが来た用を足しているときも、かなり震えていたので布団の中で体温を計ると38度だった。
10分位震えていたが、外で来客らしき物音がしたので様子を伺いながら力を抜いたら震えが止まった。
夜、20時頃食事を終えて熱を測ったら、37度1分だったので風呂に入った。次の日は一日を通して熱は37度1〜2分位だった。
次の日も朝は37度を下回らなかったのでやる事もないからと寝ていた。
16時過ぎ頃に体温がようやく36度3分の平熱になった。
そして、これならいつもの体力回復の儀式が行われるかと思い、体勢を整えた。
それは、仰向けに寝ていて少しずつ体の下から(寝ていて敷き布団に接している側)上に向けて沸き上がるような物を感じる事である。
この現象を感じたら体調はすっかり良くなった証拠で有る。
普段から少し疲れたなと感じた時でも横になり休むと疲労が取れて来た時に感じる現象である。